「自分が、仕事が、人生が、180度変わった」 ――。

決算書を1カ月で15通お預かりできたのはなぜか。

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西野
派遣会社から保険業界に来ました。
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鴻野さん
派遣会社では後継者つまり2代目経営者の予定でした。しかし世襲ではなく、株の移動ができなかったんです。
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西野
株の移動は事業承継の中の大事業です。
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鴻野さん
株主の反対に遭ったのが1つ。それに、株価が非常に高くて。下げる方法を税理士などいろいろな人に聞きに行ったんですが見つかりませんでした。
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西野
はい
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鴻野さん
経営塾に勉強に行ったときのことです。この会社の経理から渡された決算書をよく見たら、同じ期の決算書が3通あって(笑い)。
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西野
同じ期の決算書が3通(笑い)。記された数字はそれぞれ異なっていたんですよね。
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鴻野さん
顧問税理士と私で「改善しましょう」と社長に話してきたんですが、社長にその気がない。顧問税理士は社長に対してイエスとしか言わない。そこで事業を縮小することで話が落ち着いて、「有力な人材を他社に引き取っていただく代わりに私は責任を取って辞めます」と。
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西野
事業承継の話だったのが、事業縮小に。
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鴻野さん
これが現実だと感じました。顧問税理士には「これ、粉飾ですよね」と何度か言ったんですが、「こんなことやってる会社はいくらでもある」と(笑い)。
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西野
いくらでもあるんですか(笑い)。税理士がそれを言っちゃあおしめえよ、ですね。
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鴻野さん
社長は「分かってる」と言っていましたので、「ベントレー売ってください「ベンツ売ってください」と言ってきたんですが、粉飾を改めるのは難しかったんでしょうね。
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西野
なぜ保険業界に?
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鴻野さん
同業他社には行かないという約束を派遣会社の社長と交わしたからです。要するに派遣会社や紹介会社をはじめ、物流に特化した派遣会社だったので物流会社も。自分のスキルや経験値のあるところには行けなかったということです。
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西野
転職先探しに苦労しますね。
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鴻野さん
でもプルデンシャルやジブラルタから「もし転職するなら話を聞いてください」と言われていたこともあって、「では話を聞かせてください」と行ったんです。保険会社は嫌いですが。
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西野
あ! そこ教えてください。なぜ保険会社嫌いなんですか?
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鴻野さん
私が悪いんですが、月に12万円払ってたんですよ。
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西野
保険に?!
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鴻野さん
「お願いします」と言われて入ったお付き合い保険も含めて。
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西野
積み重なって月に12万円!
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鴻野さん
私ひとりで子育てをしているのに、入っていた保険はほぼ年金と医療だけ。「私が万一死んでも娘たちだけは困らないよう、教育だけは絶対受けさせたいから、そこだけは譲れない」とあれだけ言ったにもかかわらず……。
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西野
ひどいなぁ。
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鴻野さん
それを知ったのは今の所長に保険証券を見せたときです。「これ、何の保証もないよ。年金だから」と言われて、「何じゃこりゃ」みたいな。保険会社の人は信用できないと思いました。あれだけいいこと言っといて、あれだけ「ちゃんと設計してきましたから大丈夫です」と言ってたのに。
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西野
保険あるある、です。
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鴻野さん
「あんたの奥さんや家族だったらどう思う?」と言ってから解約しました。
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西野
そんな保険業界に入ったわけですね。
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鴻野さん
派遣会社は私の天職だと思っていたんです。マンパワーを使って人を育てながらみんなで力を合わせて頑張ろうというところに魅力もやり甲斐もありました。なので、私の頭の中は「天職の派遣業界」か「それ以外どこに行っても同じ」の選択肢しかなかったし、今まで頑張ってできないことはなかったから、どこに行っても私は頑張ることができると思ってました。保険会社から声をかけられていたので、あまり考えずに(笑い)。
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西野
入社したらまず研修があります。
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鴻野さん
唯一役に立ったのはコンプラ研修です。「こういうルールだから守りなさい」と。それで、やっていいこととやってはいけないことが分かりました。
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西野
ほかは役に立たなかったんですか。
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鴻野さん
自分がしゃべっても、どれだけロープレしても、自分に感動がない。これでお客さんが感動するわけがないと思いながら研修を受けていました。
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西野
ここに鴻野さんのお人柄が出ていますね。
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鴻野さん
支社長に伝えたら「そんなこと考えてやってる人なんかいないんだから、とにかく最後まで受けろ」と言われました。
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西野
支社長はびっくりしたでしょう(笑い)。それでいろいろな研修を?
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鴻野さん
会社で隣に人がいても、それぞれが完全な独立会社で、私は株式会社鴻野です。自分に投資しないとつぶれる。自分で自分を磨かないと株式会社鴻野は続かないと1カ月で感じたんです。
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西野
研修は名古屋で?
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鴻野さん
名古屋は田舎というと雑な言い方ですが、それなりの研修をそれなりのお金をかけて受けようとすると、名古屋では見つからないんですよ。福岡でやっているのに名古屋ではやっていない、なんてことがままありまして。そこで、大阪に出るか東京に出るかの選択になります。
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西野
名古屋は大都市だと思うんですが、研修を受ける機会には恵まれていないんですね。
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鴻野さん
大阪で受けたこともあったんですが、同じ業界で横のつながりを持とうとすると、東京の人のほうが何となくいいような感じがして。
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西野
ものすごく大勢の人がいるぶん、すごい人もそうでない人も大勢いるのが東京です。
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鴻野さん
名古屋から行く場合、大阪より東京のほうが遠いんです。しかし同じ研修を受けることができて、交通費の差しかないんだったら、東京に大勢いるすごい人と関わりを持ちたいと思って東京に行っていました。
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西野
投資するなら最高の結果を出したいですもんね。
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鴻野さん
深美さんがメルマガや交流会で「勉強にはけっこう投資した」とおっしゃっていたのを聞いて、上には上がいると思いました(笑い)。
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西野
研修の選び方はどうしていましたか?
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鴻野さん
学ぶのが好きな人が研修に行くので、そういう人に「相続の勉強をしたいんですけど、1から教えてくれるのはどこですか」というふうに聞いていました。それで例えば「大坪さんのところがやってるよ」と聞いたら即、何も考えずに申し込んでお金を払って受けていました。
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西野
いろんな研修があったことでしょう。
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鴻野さん
例えば、アンケートを書いてもらうときに「個別相談は今日だけ無料です」と言うとみんな食いついて来ますよ、とか。でも私はいつも無料なんです。にもかかわらずそう言えばお客さんは「今日だけなの? だったらやりましょう」という話になる。それはウソをついてお客さんを操っているだけなんじゃないかと感じました。だから、やらなかったです。ジャパネットたかたじゃないんだからと思いました。
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西野
鴻野さんは真っ当です。お客さんを考えさせないやり方はお客さんへの敬意が全くない。馬鹿にしたやり方です。そういう追い込み方をしたらあとでお客さんは必ず気づきますからね。
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鴻野さん
みんな期間限定とか限定ものに弱いですからね。では私は今日だけ限定なのかというとキャッシュポイントは生命保険だけだから「限定」じゃない。
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西野
はい。そこを「限定」と言うとウソつきになってしまいます。
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鴻野さん
そこで私は質問したんです。「私は一社専属です。ちょっと違うんじゃないですか」と。そしたら「いやいや、お客さんは次も来るとは限らないから、そう言い切っちゃえばいいんです」みたいな返事で。
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西野
不誠実のかたまりだ。そんな考え方だから週刊誌やネットメディアで保険営業が批判されるんです。
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鴻野さん
「このパワポを渡します。売れるの間違いなしです。マーケットが欲しかったら50万円払ってください。マーケット開拓のお手伝いをします。今日限定で申し込んだら40万です」みたいなことも言われました。ジャパネットたかたです。
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西野
それ、どこですか?
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鴻野さん
×××です。
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西野
すごいなー。そうかー。××さん、いい感じの人に見えるんですけどね。
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鴻野さん
コンテンツあげますというのが大半で。決算書読めなくても保険売れるから、みたいな感じでした。
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西野
絶句です。五島聡がふだんよく言う「企業を良くする」という考えを持ってないのでしょう。
いろいろなキャンペーンや賞に入賞したんですね。
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鴻野さん
でも営業所長からも支社長からもよく言われていたのが、「売れているのに何が不満なの?」でした。
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西野
売れていたのは個人保険ですか?
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鴻野さん
ほぼ個人です。
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西野
ご友人?
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鴻野さん
ベースがほぼゼロだったので、中小企業や行政に「こんなことできるんですけど」と研修をさせてもらったり……。
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西野
どういうことですか? 個人保険でも苦戦している保険営業マンは少なくありません。なのに鴻野さんは軽々とやってきた。そのやり方を教えてください。
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鴻野さん
前職でも取引先企業に入らせていただいて新人の育成研修などをしていました。当時はそういうことに対して助成金が出る制度があったのです。私は講師料をいただいてやっていました。そのスキームをそっくりそのまま引っ越してきました。
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西野
鴻野さんは研修講師としての実績も前職で積んでいたんですね。
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鴻野さん

それで「こんな新人研修ができます」などの提案書を作るんです。「でも私は生命保険会社の人間なので、一般的な生命保険の解説もさせてください。例えば契約者はどんな役割をするのか、被保険者はどんな役割をするのか、という程度の話です。具体的な商品名は出しません」と。それを「ここで研修をやりたい」という企業に送っていました。

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西野
「ここでやりたい」の基準は何ですか?
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鴻野さん
物流業界で、従業員100人以上で、エリアはどこで、などの条件で絞ったリストをうちの会社で出せるんです。
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西野
それはいいですね。
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鴻野さん
そこにさっきのような研修内容の提案書のほかに、「突然すみません」と便箋1枚に直筆の手紙を書いて、自分のプロフィールも書いて、送ります。そのあと訪ねたり電話でアポを取ったりして行くと、「誰かにやってもらおうと思っていたところだったから試しにやってみて」と。
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西野
研修の営業ですね。
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鴻野さん
そういうのがチラホラ。もう1つが行政さんに女性活躍推進とかで。
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西野
行政って具体的には?
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鴻野さん
中小企業庁や愛知県。そこの入札案件を見ていくと、チラリチラリと出てくるんですよ。すごくニッチなやり方ですけど。
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西野
え? え? 入札案件? どういうことですか?
もう少し詳しく教えてください。
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鴻野さん
都道府県名に入札というキーワードで検索すると出てくるんです。
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西野
ネットで公開されているんですか? 知らなかった!
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鴻野さん
こちらで入札すると募集文書の問題もあるので、知り合いの会社に入札をしてもらって講師は私が。
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西野
入札と聞くと建設関係のイメージしかありませんでした。
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鴻野さん
教育事業とかもあるんです。中小企業庁で実際にやらせていただいたのは、女性活躍推進のための事業を誰か何か提案してくださいというやつでした。すごくふんわりとしたものだったので、女性活躍のために例えば働き方を変えるとこれだけお金やライフデザインが変わりますよというセミナーを3回シリーズで、県内3カ所でやらせてくださいと提案しました。
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西野
行政は講師を年中募集しているんですか?
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鴻野さん
年中ではありません。私は今はやっていないので古い情報ですが、金額が15万から20万程度なら課長クラスの決済でやらせてもらえる場合があると言われたんです。
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西野
はい。
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鴻野さん
行政さんは予算を使い切らないと。余らせたら次の予算が全額は来ません。
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西野
行政にとって予算の消化は大事です。
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鴻野さん
でも、「余ったから使わないといけない」となっても、そこから募集を始めるのはなかなか難しい。
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西野
それでは年度末に間に合わない可能性がありますね。
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鴻野さん
そこで、こちらから「予算が余っているんだったらやらせてください」と頼んでおくんです。投げ続けるわけです。そうすると電話がかかってきます。
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西野
どこに投げ続けるんですか?
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鴻野さん
窓口があるんです。片っ端から電話をして、「うちではありません。そういうのはこっちです」とたらい回しされて、最後に辿り着きます。
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西野
鴻野さん、すごいわ!
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鴻野さん
行きついた先に「すみません。今から提案していいですか?予算余ってますか?」と聞いて、「今年は余ってます。出すだけ出してください」と言ってもらえればゼロ回答ではないので、出す。愛知県と岐阜県、三重県でこの繰り返しでした。
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西野
行政を相手にする発想が斬新です。
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鴻野さん
前職ではいろいろなテーマで「講師をしてください」と言われたことがあったので、そういうのがあるとぼんやり分かっていたのです。それに、保険業界に入る前に前職のマーケットで営業しないという約束でしたから、とにかく何かやらなきゃいけないと思って手当たり次第にやっていたら、ある期間すっぽりと、はまったという感じです。
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西野
鴻野さんは今さらっとおっしゃいましたが、「手当たり次第」というのは重要ですね。ところで行政での研修はコンプラ上は?
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鴻野さん
真っ当なやり方なので問題ありません。派遣会社とコラボしてこういうセミナーを行政でやると申請を出しますし、運営費は派遣会社に下りるので。
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西野
行政が外部講師を呼んで研修することがあります。本当に面白いところに目をつけましたね。その手があったかと思いました。
話を戻すのですが、それで個人保険には苦労しなかったんですね。
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鴻野さん
そうですね。最初から保険証券はさらっと出てくるし、源泉徴収票もぱっと出てくるし、住宅ローンの精算明細も出てくるし。なのでアプローチはしていません(笑い)。
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西野
誰でも簡単に真似できる話ではありません。しかし、だからこそ、そこまでできれば個人保険営業に苦しまずに済む世界があるんですね。
売れている鴻野さんが自分を詐欺師のように思えたというのはどういうことですか?
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鴻野さん
前職が派遣会社だったので、あした食べるものに困るという人を採用したこともあります。あれだけ一生懸命働いてやっとこれだけの給料をいただいているのに、私は涼しいところや温かいところにいて設計書を作って、お客さんの前であれだけしゃべっただけでこんなにお金をもらえるんだということに最初すごく違和感がありました。たいした役にも立っていないのにこんなに報酬をもらって詐欺師じゃないかと。もっと役に立たないと、費用対効果を考えるとお互いに合わないんじゃないかとずっと思ってたんです。
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西野
そんなことを! 鴻野さんの誠実なお人柄が垣間見えます。
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鴻野さん
その一方でいろいろ足を引っ張る人がいて。
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西野
同僚なのに?
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鴻野さん
女性のLPが私ひとりだったせいか、常に私の数字を彼らは見ているんです。数字が悪いと「あいつはもう終わりだ」とボソボソボソボソ私に聞こえるか聞こえないかの声で話すんです。
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西野
それは陰湿ですね。男の腐ったような連中だ。
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鴻野さん
無料券をもらったのでゴルフの打ちっぱなしをやりに行ったら、「あいつは平日の昼間にゴルフに行っている」と支社長に告げ口されて。私は昼の休憩時間に行ったのに。
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西野
人間のクズです。
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鴻野さん
普通の人がやっても何の騒ぎにもならないことが、私の場合いちいち騒ぎになるんです。
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西野
仕事ができるからそれだけ注目を集める存在だったのでしょうけれど、仕事をする環境としては大変不幸ですね。
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鴻野さん
「鴻野はあいつのことが好きだからすぐあいつに聞く」とか。言ってることが幼い。
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西野
中学生みたい(笑い)。
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鴻野さん
本当にそうです(笑い)。
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西野
お悔やみ申し上げるしかありませんが、そんな中でも個人保険を着実に売っていたんですね。
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鴻野さん
支社長には「私が本気になったら、仕事と頭の中がフィットしたら、私はこんなもんじゃない」と言ってました。
本気になれない自分とフィットしない自分とうるさい雑音が邪魔をしていました。
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西野
それでもしっかり成果を出して、「お金をもらいすぎだ」「私は詐欺師だ」と言う謙虚な人を私は初めて見ました。
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鴻野さん
ずっと違和感がありました。
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西野
人には質の違いがあるんでしょうね。
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鴻野さん
支社にチャンピオンがいたんですが、その人は私たちにもお客様にも期待以上に応えてくださって。それくらいできれば手数料という対価を真っ当なものとして受け取ることができると思っていました。
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西野
期待以下しかできない場合、もらいすぎだ、と。
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鴻野さん
保険営業マンは値引きを求められることもないし、新人だから8掛けでと言われることもありません。それだけに自分のお客様に申し訳ないと思いました。せっかく私のお客様になったんだから、自分が期待以上のことができるようにずっと学び続け、習得していかなければとも感じました。
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西野
お客様のために自分を向上させていこうという意欲は学ぶ意欲につながっているのでしょうね。一方で向上心のない人もいるでしょう。
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鴻野さん
「キャバクラで接待したらあの社長は酔っ払ってサインしてくれる」とか
「こんなクソみたいな契約はいらなかったんだけど、商売だから仕方ない」とか、
お客様の前で言えないことを言う人たちがいました。朝の雑談とはいえそんなことをよくぞ職場で言えるもんだと呆れました。
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西野
呆れた鴻野さんには正義の血が流れています。
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鴻野さん
もちろん、それが彼らの全てではないとは思いますが。
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西野
はい。笑わせようとして話を盛ったのかもしれませんが、でも、そういうことを言ってしまうと自分の心臓が凍るはずです。
ところで、鴻野さんは「生命保険なんかなくても何とかなる」と思っていたんですよね。
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鴻野さん
私は夫が経済面で機能していないとき専業主婦から必死にやったら何とかなっちゃったという体験があったので、「いざとなったら(夫が亡くなって生命保険がなくても)、残された普通の主婦でも何とかなると思っていたのです。
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西野
鴻野さんは普通の専業主婦ではありません(笑い)。この生命力、たくましさはどこから来るんでしょう(笑い)。
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鴻野さん
両親に感謝していますが、本当に私は主婦の仕事しかしてなかったんです。
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西野
いや、それは実力を発揮する場面がなかっただけだと思います。鴻野さんにとって専業主婦は仮の姿、あるいはごく一部だったんです。話を進めますと、同僚から紹介されて戦略法人保険営業塾の体験にいらしたんですね。学ぼうとしていた鴻野さんにとってナイスタイミングの紹介でした。
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鴻野さん
2018年6月に名古屋で。
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西野
体験に行ったら五島さんが怒ってたんですって?
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鴻野さん
憮然とした感じで「見学?後ろ(の席で)」と。「何この人?!」って思いました(笑い)。
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西野
(笑い)
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鴻野さん
その日ある人がテキストを印刷して持って来てなくて、iPadで見ようとしていたようですが充電がなかった。その人に対して五島さんは「学ぶ姿勢がない」「お客様の前で同じことをしてしまうぞ」とおっしゃったんです。
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西野
お客様の前で言えないことは言うべきではないと怒った鴻野さんと通じるものがあります。
厳しいと思われることでも、五島さんは相手を思えばこそ伝えます。
会員さんの中にも厳しいことを言われた人たちがいます。それで皆さん目を覚まします。
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鴻野さん
五島さんはそういうことを普通に言える人だとのちに理解しましたが、ああいう場で会員さんたちを「来てもらっているお客様」だと受け止めれば、気を使う講師も多いと思うんです。
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西野
「お客様は神様です」と言ったのは国民的歌手だった三波春夫です。
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鴻野さん
正しいことや言いづらいことを五島さんはきちんと伝えていると私は思ったんです。叱っているというより、「あなたのその姿勢は違うんじゃないか」とその人に五島さんがお伝えになっていると見えたんですね。
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西野
お前職の派遣会社で大勢の人のお世話をしてきたからでしょうか、鴻野さんは人を深く見抜きますね。
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鴻野さん
私の前職の税理士や社長にも同じことが言えるんです。もし税理士が社長に言いづらいことや正しいことをきちんと伝えていたら、私のこのFP人生はなかったと思いました。
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西野
ご経験に照らし合わせたんですね。
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鴻野さん
こうやって大人が大人にきちんと伝えられる人って、裏も表もない人だと、そのとき私は五島さんに感じたんです。そのお姿にすごく共感したんです。この人はいいこと悪いことをきちんと教えてくれる人ではないかとその姿勢を見て理解して、その場でシー(SHE=戦略法人保険営業塾)に申し込みました。
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西野
五島聡という人間を信頼したんですね。
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鴻野さん
五島さんのファンになれると思ったんです。直感ですが。もともとこの仕事は自分のファンを増やしていく仕事だと私は理解しているので、最後は人間だと思っているんです。そこにどれだけ知識をつけていって、人間を磨いていくかにかかっている仕事だと思っていて、絶対にそこだけは怠らないようにしていこうと思ってて。なので、五島さんの近くで学びたいと。そういうことを本当に何年かぶりで思ったんです。
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西野
それまで受けた研修とは全然違っていたと。
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鴻野さん
ということですね。
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西野
五島さんは事務局によくこう言うんです。「やる気のない奴は入会させるな」と。真剣に教えているからこそ、真剣に学ぶ人でないと合わないんだと思います。
シー(SHE=戦略法人保険営業塾)本講座で学び始めたわけですが、HSC(法人保険シフトチェンジ講座=現在のSHE財務基礎講座)にも入会したんですよね。
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鴻野さん
HSCの18期です。
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西野
本講座に続いてなぜHSCにも入会したんですか?
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鴻野さん
菊波さんが五島さんと写っている写真をフェイスブックで見つけたんです。それで菊波さんに「同じところに行ってると思うんですけど、難しくて」と伝えたら、「いや、それは違う」と。「僕が行ってるのはHSCです」と言われたんです。
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西野
HSCとシーは内容が異なります。
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鴻野さん
私はHSCで学ぶべきだと気づきました。「フロントセミナーがあるから行ってみたら」と言われたので、さっそく。
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西野
さすが決断と行動が早いです。
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鴻野さん
菊波さんは支社は別ですが同じ会社だし、東京でやっている勉強会に参加していたりしたので、「この人がいいと勧めるんだから、いいに違いない」と。それでフロントセミナーに行って、聞いた瞬間申し込みました(笑い)。
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西野
やっぱり決断と行動が早い!受講してどうでしたか?
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鴻野さん
今まで誰にも教わったことのない内容でした。最初に浮かんだのは前職です。
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西野
同じ期の決算書が3種類あったという前職ですね(笑い)。
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鴻野さん
「よくあんなことをやってたな」というのが最初の感想です。「よくあんなことをやってて会社を経営できていたな」と。HSCできちんと学べば自信を持ってお客様のお役に立てるときが来ると思いました。
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西野
勉強はどのようにしましたか?
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鴻野さん
分かっても分からなくても、とにかくレコーダーを回し続けました。菊波さんからそうすることを勧められたので素直に実行しました。
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西野
はい。映像を後日配信していますが、それとは別に、自分のレコーダーで録音する会員さんは大勢います。
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鴻野さん
それを支社でイヤホンをして聞きます。こうすれば支社の中の雑音は聞こえません。音楽を聞いているわけではなく、勉強をしているので誰も文句は言いませんし、もし何か言われても「勉強をしているので」と堂々と言えます。
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西野
テキストは広げるんですか?
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鴻野さん
さすがに会社と車の中では広げません。しかし、朝は自分の勉強を1時間半、お手紙を書く時間を1時間それぞれ取っていましたから、そこではテキストを開いていました。
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西野
けっこう早起きなんですね。
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鴻野さん
はい。工夫しながら朝の時間を確保していました。
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西野
そして今年の夏、大ブレークします。
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鴻野さん
ラッキーパンチです。
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西野
いえ。皆さんそうおっしゃるのですが、「ラッキー」ではなく、パンチが当たるだけの行動をしています。ほかの人とレベルが違う行動をしているんです。その辺りのことを詳しくお聞きします。
会社との出会いを教えてください。
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鴻野さん
製造業で、あの会社があるなぁ。という程度には知っていて、テレアポして、「社長はその時間にいます」ということで訪ねました。
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西野
テレアポが最初なんですね。
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鴻野さん
ところが、社長は「俺は保険が嫌いだから保険屋とは会わん」と。
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西野
のっけから。
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鴻野さん
会社を支える主力の営業マンがガンだと分かった日で、「会社が存続するかどうかで大変なのに、保険どころではない。とにかく帰ってくれ」と。
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西野
確かに保険どころではありません。
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鴻野さん
私は帰らず、「治療と仕事が両立できる環境を整えてあげれば簡単なことですよね」と言いました。そしたら社長は「簡単と言うな!」と怒鳴ってきたので、「私にとっては簡単だから簡単だと言ったんです」と。
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西野
こう言う場面で言い返せる保険営業マンはめったにいないでしょう。
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鴻野さん
「ウソだと思うんだったら、私が会社の中でプロジェクトチームを作って支援をどうしていけばいいかアドバイスできるので私を使ってみませんか」と提案しました。
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西野
提案できるから言い返せたんですね。
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鴻野さん
社長はうんと言わなかったんですが、近くにいた奥様が「いろいろ選んでいる場合ではないから1回やってもらったら。両立支援とか言われているけど、うちの社労士はそんなことできないから」と後押ししてくださったんです。
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西野
ドラマチックな始まりです。
それで、会社への出入りが始まったんですね。
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鴻野さん
どうやってプロジェクトチームをつくっていくか、どうすれば両立支援できるのか、分かっていましたので。
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西野
それで週に1回の割合で会社に行った。
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鴻野さん
10カ月くらい通いました。プロジェクトチームが稼働するまで時間がかかるので、最初のころは会社に半日いたこともあります。
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西野
そんな鴻野さんを社長は黙って見ていたのでしょうね。
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鴻野さん
従業員さんが慕ってくれ、頼ってくれるようになり、結果的に私は「従業員を大切にする人」という位置づけになっていきました。
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西野
美しい話です。
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鴻野さん
パートさんを入れて52人の会社でしたが、その営業の人で持っていたんです。中小企業あるあるですけど。
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西野
大黒柱ですね。
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鴻野さん
その前に社長ががん闘病していた時期があって、その時期はその人ひとりで営業をして仕事を取っていたそうです。その人が会社の顔になっていたんです。なので、その人と相手企業の担当者は顔見知りになっていますが、社長はその相手企業の担当者とは顔つなぎもできていなかった。そんな重要な人ががんになったので、社長は「どうしよう」と。
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西野
その人の年齢は?
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鴻野さん
がんになった当時49歳です。
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西野
若いなぁ。それで、両立支援をしてきた鴻野さんは今年6月、社長に呼ばれたんですね。
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鴻野さん
何か分からないことなどがあるとよく電話がかかってきていたので。「朝来て。誰もいない時間に話したいことがある」と言われて、7時半に行きました。
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西野
社長は何を?
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鴻野さん
社長が保険を嫌いな理由です。社長ががんになったとき、担当の保険営業マンに「絶対に黙っていてくれ」と言ったのに共通のお客さんにしゃべってしまったのが1つ。もう1つは、がんと言ったあと全く来なくなった。それまでは「社長社長社長社長」と調子よく言って、「接待します」とか言って、散々こびを売っていたのに、がんと言った途端給付金さえ持ってこない。書類だけ送りつけてくる。だから大嫌いだ、と。
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西野
両立支援に尽くした期間、鴻野さんは保険営業ができていなかったんでしょう?
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鴻野さん
その間に従業員さんから個人保険の相談を受けてお預かりしたり、法人の福利厚生でがん保険をお預かりしたりさせてもらいました。ただ、社長にとっては「そんな微々たるお金を払っても、対価としてあなたに合わないでしょう」と言ってくださって。
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西野
人間の機微を察する社長ですね。
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鴻野さん
「会社からのお金ではお礼ができないので、個人のポケットマネーで払います。そうすればお互いに一番いいでしょう」と社長がおっしゃって。
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西野
お金をもらおうかなと思いませんでしたか?
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鴻野さん
全く思いませんでした。身内の借金の経験でお金のことはもうおなかいっぱい。お金お金お金お金はおなかいっぱいだったので、もらおうとは本当に思わなかった。
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西野
素晴らしい。お金に貪欲な人が多いのに、鴻野さんは逆ですね。いい環境で育ったのだと思います。
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鴻野さん
「両立支援を私は楽しくやらせてもらったし、何よりも、両立支援を一緒にやらせてもらって学んだし。一番学んだのは私なので授業料を払わなければいけません」と言って笑いました。
社長は「300万? いや安すぎる。500万? 1000万か。いくら欲しいか言ってくれれば、黙ってその金額を払います。あなたのパフォーマンスに対するお金はいくらなのか明示してください」と。
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西野
厚みのある社長ですね。
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鴻野さん
私は「お金はいりません。他社さんにも同じようにしていますから」とお断りしたところ、「じゃあ、ジャガー」と(笑い)。
「え? そんな凶暴なのいりません」「違う違う」。私は動物を思い浮かべたのですが、社長の頭の中には車があった(笑い)。
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西野
その状況で動物のジャガーがまっ先に浮かぶ鴻野さんもどうかと思いますが(笑い)。
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鴻野さん
奥様がいつもアニマル柄の服を着ていらっしゃったのも一因かもしれません(笑い)。
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西野
社長はジャガーの次に何と言ってきましたか?
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鴻野さん
「いま何が一番ほしいんですか」と聞かれました。「ドリームのような、僕が手に入れられないものは駄目だけど、手に入れることができるものであれば言ってください。そうすれば僕の気も済むから」と。
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西野
社長が鴻野さんに恩義を感じている様子がひしひしと伝わってきます。
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鴻野さん
「私はこういうことをしていて」と五島さんから学んでいることを説明しました。社長はうなずいて「うちの銀行の資金繰り、やってもらったもんね」と。私は「そういう決算書がほしいんです。ただし、この人と一緒に成功したいと社長が思っている会社さんがいいです」と伝えました。
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西野
「この人と一緒に成功したいと社長が思っている会社」という条件は素敵な惹句です。
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鴻野さん
後日、経営者の集まりに呼ばれました。そこでこの1年の出来事を社長が皆さんに話してくださって、「みんなで成功するためにこの人を信じて決算書を預けてみないか」と呼びかけてくださったんです。
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西野
映画のワンシーンのようです。
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鴻野さん
私、涙が出ました。社長はラグビーで言う日本代表チームのキャプテンのような立ち位置の人だったんですね。集まった経営者の皆さんは「この人(社長)の言うことなら聞かなければいけない」という立ち位置にいて。社長はどれだけ人望が厚いんだと驚きました。
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西野
そんな社長が、集まった15人の経営者に呼びかけたのですから圧倒的ですね。
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鴻野さん
はい。そういう雰囲気になってきて、「じゃあそうしよう」と。
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西野
ところで、両立支援で関わっていたときに資金繰り改善をしたんですね。
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鴻野さん
そうなんです。罹患された方と社長が話をするときに私がファシリテーターとして同席することがあって、その人が心配になって聞くわけです。「社長、大丈夫ですか? 経営はどうですか? 売上はどうですか?」と。そのとき私は今だと思って、「社長、実は私は財務改善のお手伝いもやっているんです。本当は初日にその話をしたかったんです。今日でなくていいので聞いてください」と言いました。
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西野
五島聡は「経営者に言うべきことを言う」ことの重要性を繰り返し語っています。鴻野さんはそれを実行したんですね。それで決算書をお預かりして、どうでしたか?
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鴻野さん
いい意味で人のいい社長なので、銀行にいいように使われていました。本数がものすごくて。
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西野
そういう話を聞くと、銀行もえげつないことをしていることが分かります。
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鴻野さん
そこで、本数をまとめたり、当座に変えてもらったり、必要運転資金を出して銀行に相談させてもらったりしました。銀行はいい条件で見直してくれました。
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西野
鴻野さんひとりでやったんですか?
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鴻野さん
周りの人に時折聞いたりしていました。例えば菊波さんやHSCの同期の人に「これでいい?」「この計算で合ってる?」と。営業所長もHSCで学んでいて、元銀行マンで頭のいい人ですから、「合ってる?」などと聞くとその場で答え合わせができました。
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西野
その結果は?
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鴻野さん
保証協会をプロパーに変えたりもした結果、支払いが半分くらいになりました。年間1800万円くらい下げることができたと思います。社長は「こんなに保証協会に払っとったんかー!」と(笑い)。全く分かっていなかったわけです。それで社長が「賞与を出す」という話にもなって。
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西野
財務改善できたから賞与ですか。そういう考え方をする社長だから人望が自然に集まるのでしょうね。
それで、15社の決算書が手元に?
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鴻野さん
うち2社はお返ししたので最終的には13社です。
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西野
なぜ2社は返したんですか?
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鴻野さん
1社は私の前職時代と同じことをやっている社長さんで。
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西野
いわゆる粉飾でしたね。
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鴻野さん
「そこは正しくしませんか」と何度言っても社長は「自分が作った会社なのに何でそんなことをしなくてはいけないんだ」と言うのです。考えをお変えにならなかったので「ごめんなさい。私は前職でこういうことがあって、正しい形にしたほうがいいと思います。そのお手伝いをしたいのですが、ブラックのままでいいというのでしたら私にはできません」と正直に言って決算書をお返ししました。
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西野
鴻野さんのこの対応の仕方は、不正の決算書をお預かりしてしまった場合のモデルになりますね。もう1社の理由は何ですか?
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鴻野さん
書類がなかなか出て来なかったんです。それで、「社長が全部そろえられたタイミングでお預かりさせてください」と伝えました。お付き合いをしたくないわけではないのですが、ずっとこういうルーズな関係が続くと思ったので。
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西野
こちら側は相手に合わせていつまでも待ちそうになりますが、鴻野さんのお話を伺うと、そうではない。メリハリというのか、常識を越えたとこちら側が判断した場合はこちら側から引いていいんですね。五島聡は常々「理念でつながり、知識で貢献する」と教えています。鴻野さんのこの2つのケースは理念でつながることができなかったわけですから、貢献しようがなかったのですね。
社長との輪を広げる独自の方法を見つけたんですね。
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鴻野さん
お預かりした決算書を持ってSHE交流会に出たのがきっかけです。
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西野
SHE交流会は沖野さんが毎月開催していて、学ぶことの多い場です。参加しない人は阿呆だと私はヒソカに思っています。それで、持っていったのはどんな決算書ですか?
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鴻野さん
債務超過の会社です。専務が半べそをかいて決算書を私に持ってきたんですが、私もどうしていいか分からなくて。それで沖野さんに「どうすればいいか今日教えてもらえませんか」と無理なお願いをしたら、沖野さんは「いいよ」と見てくださったんです。
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西野
沖野さんの面倒見のよさは古今東西でトップクラスだと思います。そこで学んだことがあったんですね。
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鴻野さん
沖野さんが決算書を見ながら丁寧に「ここは社長何と言ってた?」「この科目のこの金額はどういう内容だった?」とすごく丁寧に私にヒアリングしてくださったんです。販管費の中身まで「これは何に使ったと社長は言ってた?」とすごく丁寧に聞いてくださって。
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西野
はい。決算書を見る際の勘どころとでも言えばいいでしょうか。
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鴻野さん
沖野さんがしてくださった質問の仕方やすごく一所懸命に傾聴してくださるところから、私は社長にもっと丁寧にもっと細かく聞くべきだと思ったんです。私は雑な面談をしていたと、そこで気づきました。
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西野
はい。決算書を見る際の勘どころとでも言えばいいでしょうか。
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鴻野さん
沖野さんがしてくださった質問の仕方やすごく一所懸命に傾聴してくださるところから、私は社長にもっと丁寧にもっと細かく聞くべきだと思ったんです。私は雑な面談をしていたと、そこで気づきました。
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西野
「気づいた」のが重要です。
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鴻野さん
「傾聴して、質問して」を続けていくと見えてくるものがあると分かりました。それからは事細かに決算書の中身を聞いていくようになりました。その結果、×××のことも聞けるようになったんです。
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西野
どんなふうに聞くんですか?
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鴻野さん
「×××が×××たら困りますよね」と。「そりゃ困るわな」「でしたら……」と。
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西野
おおお。すごいやりとりですね。戦略法人保険営業塾(SHE)の会員さんに公開するならまだしも、会員さん以外の読者も多いメルマガでこれを全部公開するわけにはいきません。メルマガに載せる際は簡略にして、×××と伏せ字を使います。で、この方法で社長の輪が広がるんですね。
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鴻野さん
社長の立ち位置などにも左右されますが、広がります。
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西野
毎月100通ほど手紙を書いているんですってね。
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鴻野さん
1カ月間に起こった出来事や学んだことをA4用紙1~2枚にパソコンでまとめて、そこにお手紙を入れているんです。「僕だけに来た手紙」です。
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西野
どんな内容ですか?
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鴻野さん
例えば訪問した際に従業員さんがこんな対応をしてくれてすごく気持ちよかったですとか。訪問していないところはホームページを見たりして。どちらかというと、読んで気持ちがいいことを書きます。
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西野
個人のお客様にも?
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鴻野さん
個人のお客様にはハガキです。例えばご紹介者には「ご紹介ありがとうございます。ご縁の輪が広がりました」とか「ご契約から3年経ちますがお子さまは大きくなりましたか」とか。ご様子伺いです。
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西野
筆記具は何ですか?
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鴻野さん
ハガキにはなんちゃって万年筆。きちんとした手紙にはぺんてるの筆ペン。
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西野
私も筆ペンを使っていますが、一文字ずつ丁寧に書かなければならないから時間がかかるでしょ?
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鴻野さん
最初はものすごく時間がかかりました。慣れてくれば時間が短縮できるだろうと思ってやり始めました。
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西野
でも、時間の短縮には限界がありませんか?
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鴻野さん
電車の中とかで書いています。でも新幹線の中では書けないんです。揺れ方がちょっと違うみたいで。
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西野
電車の中で筆ペンで?! 時間を徹底して活用していますね。新幹線の揺れ方が違うというのも興味深い話です。
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鴻野さん
前職のとき、毎月毎月お給料袋に一筆箋みたいなカードを、その子向けに書いて入れていましたから。毎月240枚書いていたので、そういうことはあまり苦にならないんです。
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西野
そんな手間のかかることを! 鴻野さんは昔から人に対する向き合い方が誠実というのか優しいというのか、人に手間暇を惜しまないところが素晴らしいですね。保険営業マンになってからお客様にレターを出す人はいますが、その前からやっていたとなると本物です。
HSC(=法人保険シフトチェンジ講座、現在のSHE導入財務基礎講座)に入って3カ月経ったころ年P2500万円の保険をお預かりしたんですね。
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鴻野さん
数年前からお邪魔していたんですが、お預かりしていなかったところで、HSCで学んだことと沖野さんからいただいたスクリプトでお話しした企業様です。
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西野
3カ月くらいで大きな成果です。その企業に必要な、お役に立つ話をしたんでしょう。
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鴻野さん
ラッキーパンチです。
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西野
ずっとお話を伺って分かったことがあります。鴻野さんは持っているエネルギーがものすごく大きいんです。今のポジションでは十分燃焼できていなくて、ガソリンがまだ4割くらい余っているから爆発する可能性がある(笑い)。なので、今のポジションにとどまらないんじゃないかと思います。業界を離れたり、何か組織を作って人の上に立つところに行くんじゃないかと思うんです。楽しみにしています。
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鴻野さん
沖野さんがしてくださった質問の仕方やすごく一所懸命に傾聴してくださるところから、私は社長にもっと丁寧にもっと細かく聞くべきだと思ったんです。私は雑な面談をしていたと、そこで気づきました。

-終わり-